ウイグル人弾圧についてのレポート

はじめに

皆さんは、ウイグル、南モンゴル、チベットで何が行われているかご存知でしょうか?

最近はこれに香港も加わって酷い蛮行が行われております。これらの国々は中国共産党から酷い弾圧を受けているのです。中でも今回は、最も酷い弾圧を受けているウイグル問題を取り上げてみました。

これは日本ウイグル協会がまとめたレポートを私が解かり易く編纂したものです。詳細を知りたい方はウイグル協会のHPをご覧ください。(巻末にURLが掲載しております)

1840年に始まったイギリスと清とのアヘン戦争により、香港はイギリスに割譲され、1898年に租借期間が99年と決められました。その契約が守られ、99年後の1997年に香港は中国に返還されました。このときイギリスのサッチャー首相と中国の鄧小平氏との間で50年間は一国二制度を守るという約束が交わされました。しかし、2047年までの約束だったはずが、習近平国家主席によってわずか22年で反故にされてしまいました。

 鄧小平氏(左)とサッチャー首相(右)

香港の人々にとって、これはどういう事を意味すると思いますか?

欧米では香港問題は大きな事件としてメディアで取り上げられておりますが、残念なことに我が国ではあまり取り上げられておりません。また、興味がないという人が非常に多いのも事実です。なので私はこの問題の真実をできるだけ多くの日本人に知ってもらうためこのレポートを作成しました。

共産主義国家中国に飲み込まれたら、自由も民主主義も人権もあったもんじゃありません。だから彼ら香港人は何もかも捨てて、命がけで戦っているのです。苦労して一流大学に入ったにもかかわらず、それを棒に振ってまでデモ活動をするということは、香港が中国化したら如何に大変で悲惨な目に遭うことが予想できるので彼らは死ぬおもいで戦っているのです。

の鳥も生まれた時から
籠で飼われていたら
それが当たり前
しかし、野生で育った鳥は
籠には入れない

香港人(民主主義)と中国人(共産主義)はこの鳥のように全く違う生き物であると私は思います。

昨年のデモ活動によって多くの尊い命が失われました。2019年6月~11月までの間で、死者2500人以上、自殺者250人、行方不明者6000人以上という有様です。

ある15歳の少女は、全裸になって海で発見されました。香港警察は何の疑いもなくすぐに自殺と断定して焼却処分にしてしまいました。彼女は水泳が得意だったそうです。

そんな泳ぎの得意な人が海に飛び込んで自殺しますか?

女性が全裸で自殺なんかすると思いますか?

         香港で自殺と称する死体で見つかった15歳の少女

またある男性はビルから飛び降りて自殺しました。しかし、現場には血が一滴も流れておりませんでした。

生きた人間がビルから飛び降りて血が一滴も流れないなんてありえますか?

恐らく彼は警察に逮捕されたあと、酷い拷問にかけられて死亡したのでしょう。警察はそれを隠蔽するため自殺に見せかけ、ビルの屋上から放り投げたのだと言われております。

このような不可解な自殺ばかりを目撃した香港の学生達はどうしたか分かりますか?

警察に逮捕される直前みんなの前で次のように叫んだのです。

「私は○○です!」

「私は絶対自殺しません!」

こうやって自分の名を名乗ることによって、不当に殺さたらそれは自殺ではなく中国共産党に殺されたんですよ、と暗に匂わせているのだと思います。

一体、行方不明となった6000人以上の人々はどこへ消えてしまったのでしょうか?

おそらくこの国の過去の歴史から推測すると、女性は強姦されたあと殺され、男性は拷問したあと、殺して焼却処分にしてしまったと考えるのが妥当でしょう。もし、遺体を焼却しないでどこかに埋めた場合、後から発見されたらDNA鑑定でどこの誰だか特定されてしまうのです。しかし、灰にしてしまえば証拠は一切残りません。行方不明者として処理すれば完全犯罪となります。この6000人以上の行方不明者 のほとんどの人は 、中国共産党によって殺されたんだと私は思います。

参考
2019年12月21日付の大紀元時報によると、元香港警察長官・曾偉雄氏は
中国本土の公安、武装警察、人民解放軍の予備兵士から人材を募り、
「香港警察」として勤務させたという。


https://www.epochtimes.jp/p/2019/12/49993.html

話は変わりますが、1949年10月1日、中華人民共和国が建国され、その翌年の1950年10月26日に毛沢東率いる中国人民解放軍は真っ先にチベットを侵略しました。

「チベットの人々をチベット仏教の迷妄から解放してやった。」

というのがその理由です。しかし、実際に行なったことは正反対でした。彼らは、チベット仏教の寺院の98%、6000余りを破壊し、僧侶や尼僧多数を殺害しました。かつてチベットに僧侶は十数万人いましたが、その多くが殺害され、1959年のチベット動乱後に残った僧侶はわずか数千人のみでした。

破壊を免れた寺院は、観光資源として利用され、ダライ・ラマ法王の肖像画に代わって、毛沢東、鄧小平をはじめとする中国共産党指導者の肖像画が掲げられ、経典は取り払われ、僧侶には毛沢東思想の学習が強要されました。また中国共産党に対する抗議は一切許されず、平和的な集会やデモでも、参加すれば投獄され、逮捕者の多くは殺害されるか行方不明のまま戻ってこないのです。

参考
チベット侵略の目的は水源を抑え、この水源に頼っている国々を
間接支配することだとチベット人のペマ・ギャルポ氏は述べて
おります。

環境的にも、チベットは「三極」と呼ばれており、北極、南極に
加えて三番目に大きな氷がある地帯です。
ほとんどの川の水源になっています。
ここからアジアの多くの河川に水が流れていきます。

ガンジス川はインドへ、ブラフマプトラ川はバングラデシュと
インドへ、メコン川はタイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアに
流れています。

揚子江、黄河は中国の文明の源ですが、いずれも水源はチベット
にあります。

   

1989年6月4日には天安門事件(天安門虐殺)では1万人の人間が殺されたとイギリスの機密文書で報告されております。これは国を良くしようと真剣に考えていた学生達の民主化運動に対して、その数の多さに恐怖を抱いた中国共産党が鄧小平の命令によって軍隊をもって強制的に鎮圧した虐殺事件です。中国共産党は自分たちと同じ漢民族の学生達に対してもこのような酷い仕打ちをしたのです。彼らは自国の人間にも容赦しません。

参考
「1人の兵士がやたらめったら銃を撃ちまくっていて、群衆に向かって
無差別に発砲していた。3人の若い女子学生が、この兵士の前にひざま
ずいて、もう撃たないでと懇願していた
」と、ホルトさんは語りながら、
両手を合わせて拝む仕草をした。

「なのに兵士は、3人を撃ち殺した」

記録映像の中で、ホルトさんは続ける。

お年寄りが、道を渡ろうと手を上げた。すると同じ兵士は、
このお年寄りも撃った
」。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-48494268

そして酷いことに彼らはこの大事件を自国の教科書から抹消してしまいました。だから最近の中国の若者はこのことを知らないそうです。

天安門事件で戦車に轢き殺された写真(自転車ごと轢かれた模様)

  

北京大学の仲間が大勢殺され中国に愛想をつかして日本に帰化した石平さん

この後、天安門事件と同じような事件が二度も新疆ウイグル自治区で起きています。

一つは、1997年2月5日のグルジァ事件(虐殺)、もう一つは、2009年7月5日のウルムチ事件(虐殺)で、これらも平和的なデモ活動に対して中国共産党はまたもや武力で鎮圧しました。

上記にあげた事件すべてに共通しているのは、中国共産党は自分たちの政策に反対したり、共産党の崩壊に繋がるような予兆があると、即座に軍隊を投入し、人間を虫けらの如く殺しまくるのです。

隣国でこのような酷い弾圧が起こっているのに我々日本人は沈黙していていいのでしょうか?

特にウイグルではヒットラーのナチスドイツよりも酷い虐殺が今現在も行われているのです。

チェ・ゲバラは次のような言葉を残しております。

『世界のどこかで、誰かが蒙っている不正を、心の底から深く悲しむことのできる人間になりなさい。』

彼はアルゼンチン人でありながら、キューバという国でカストロと共に銃をもって戦い、キューバ革命を成功に導いたのです。彼は己の理想や正義感のために他国で命をかけて戦った英雄なのです。

n and revolutionary, left, and Ernesto Rafael Guevara de la Serna, known as Che Guevara (Rosario, 1928-La Higuera, 1967), Argentine revolutionary, photograph. (Photo by DeAgostini/Getty Images)

我々日本人は命がけで戦うことは無理でしょう?

ならば違う形でこの国(中国共産党)の不正行為を止めさせるべきではないでしょうか?

戦国時代に生きた武将、毛利元就は、わが子に “三本の矢の団結” の大切さを教えました。

政治とは民意の反映です。

我々日本国民は一人一人が束になって大勢で結束し、それを為政者に嘆願すれば国を動かすことだってできるのです。

我々にできる最も身近な手段は、安倍総理に直接抗議のメールを送ることです。

そんな難しい内容である必要はありません。短文でいいのです。

「安倍さん、ウイグル人を助けてあげてください。」

「安倍さん、香港人の弾圧を中国政府に抗議してください。」

「安倍さん、平和に暮らす人々を不幸のどん底に陥れる習近平政権を許すな!」

この程度で十分だと思います。内容は自分自身で考えてください。

どうか、みなさん!

自分さえ良ければいい!

なんて考えはもうよしましょう!

人類みな兄弟!

どうか皆で救いの手を差し伸べてあげようじゃありませんか!

『安倍総理にメールを出しましょう!』

ご意見募集(首相官邸に対するご意見・ご感想) https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

または

検索 → 「首相官邸 意見」 → 「ご意見募集‐首相官邸」

                                 

日本ウイグル協会会員  爲永 稔

          

  

中国のウイグル人への弾圧状況についてレポート【第2版】

在日ウイグル人一同・日本ウイグル協会

2019年 9月 27日

第一章 概要

古代より東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)は、ヨーロッパと東アジアをつなぐ要衝であるだけでなく、石炭、石油、天然ガス等地下資源の豊富な地域である。1949年に中国人民解放軍が東トルキスタンに侵攻し、「新疆ウイグル自治区」として共産党の支配下に組み込んだ。それ以来、中国当局によるウイグル人への差別的、抑圧的政策がずっと続いてきた。

だが、3年前から事態が急変し、ウイグル情勢は著しく悪化した。2016年に元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳全国が“新疆ウイグル自治区”の書記に就任してから、独裁的な長期政権を築いた習近平中国共産党総書記をバックにし、東トルキスタン歴史の中で最も酷く露骨な人権弾圧、同化・民族浄化政策を展開し始めた。習近平政権が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の戦略的要衝とみられる東トルキスタンに、完全な監視・封じ込めた社会を作り上げ、ウイグル人の言語、文化、宗教を完全に絶滅させるような民族浄化政策を実施している。

陳全国が就任して以来、前任の張春賢が推進した「双語(バイリンガル)教育」をさらに露骨化し、小学校から大学まで全ての教育機関でウイグル語の使用を禁止した。ウイグル語で出版された教科書、小説、歴史を反映する本、イスラム教に関連する書籍を焼却した。陳は、1年も経たない間に、9万人を越す治安関係ポストを募集し、ウイグル自治区の警察の人員を2015年の6倍に増員し、ウイグル地域において「監視社会」の完成を手掛けた。2017年第1四半期(1~3月)のみで、ウイグル自治区で10億ドル(約1130億円)以上に相当するセキュリティー関連の投資をし(カシュガル市だけで今年3月、5100万ドル(約55億円)以上を投じた)、ウイグル全地域に人工知能(AI)の顔認証技術が搭載された監視カメラを設置した。中国政府はウイグル自治区を最先端の監視技術を試行する実験場にした。至る所に500m間隔で監視塔付きの交番(検問所)を設け、24時間体制で検問・監視を始めた。全てのウイグル人から旅券が没収された。スマートフォンにスパイウェア・アプリのインストールを強要した。GPS の車両搭載が義務付けられた。

     陳全国

ウイグル、カザフなど現地住民の政治信頼度を評価するため、「個人情報採集表、点数表」を配布し、全住民に点数をつけ、身分証明書ID と連結させた。この点数で拘束対象者を決め、「再教育センター」に収監した。12歳から65歳までの住民を対象にDNA や血液のサンプル、指紋、虹彩認証(目の瞳孔を取り囲んでいる色の薄いドーナツ状の部分で認証する)、血液型などの生体データを集めた。

最も酷いのは、2017年初頭から、「再教育センター」、「教育転化学校」、「技能研修センター」、「職業技能教育訓練センター」という名前の「強制収容所」の建設を急ピッチで進め、何も罪のない300万人のウイグル人(ウイグル人口の約30%)をこれらの収容所に監禁し、共産党の政治思想、宗教転化(非イスラム化)、民族アイデンティティを破壊するための「洗脳教育」を行っている。

ウイグル人社会に何らかの影響を持つ著名人、教育界のエリートたち、医者、著名なイスラム学者、人気のスポーツ選手、音楽家、経済界で成功した経営者(銀行に100 万円以上貯金のある人)らも続々と強制収容所に入れられた。両親が拘束され家に残された子供たちが孤児園に送られた。そして、各収容所から続々死者が出始めた。遺体は家族に返さずに内密に「処分」された。

カシュガル空港では「人体器官運送通路」、「移植器官航空運送保障プロセス」標識の専用通路やスペースが用意され、臓器売買のため国家ぐるみで「臓器狩り」をしていることが明らかになった。

21 世紀の今この瞬間も、中国政府が行っている「ナチス強制収容所の再現」(ジェノサイド)とも言える人権弾圧、民族浄化に対し、アメリカ政府が中国政府を非難し、収容所の閉鎖、全収監者の即時釈放を呼び掛けるほか、9月11日アメリカ上院で「ウイグル人権政策法案」を通した。

しかし、日本政府の沈黙がまだ続いている。納税者である我々在日のウイグル人は、日本政府と国民に対し以下を呼びかけたい。沈黙しないでほしい。中国政府を非難し、収容所の閉鎖、全収監者の即時釈放に働きかけてほしい。これは単に人権弾圧の問題ではなく、「人道に対する罪」、世界平和への挑発であり、ウイグル民族存亡の危機とみてほしい。

第二章 「強制収容所」の現実

米国防総省アジア・太平洋安全保障担当のランドール・シュライバー次官補は今年5 月の記者会見で、同自治区の収容施設を「強制収容所」と呼び、推計「300万人」が拘束されていると非難した。東トルキスタンの人口は2300万人(2014年統計)で、ウイグル人口は48.5%、約1130万人だとすると、ウイグル人口の約30%の人が「再教育」されているのだ。

報道によると、2017 年春以来強制収容所に収監された人で 釈放された人が一人もいないという。

何も罪がなく、「要注意人物点数表」でマイナス点数が高い人が収容所送りの対象者となっている。

例えば、

(1)ウイグル人である
(2)イスラムの礼拝をしている
(3)宗教知識がある
(4)(当局が要注意とする中東など)26 カ国に行ったことがある
(5)外国に留学した子供がいる

といった項目に該当すれば要注意人物として対象者となる。また、ウイグル人社会に何らかの影響を持つ著名人、教育界のエリートたち、イスラム学者、人気スポーツ選手、音楽家、経済界で成功した裕福な経営者らも「民族情绪(民族的気持ち)がある」、「両面人」として収監対象者となっているのである。

※ 意味:両面人とは、共産党内にいて、じつは反共的思想をもつ人間をいう。

収容所の状況は海外メディア、研究者らによって次々と報道されるようになった。Bitter Winterが中国共産党内の情報筋によりつかんだ情報によると、ウイグル族の大規模な拘束を隠すため、中国の当局は新疆ウイグル自治区の混雑した刑務所および強制収容所から陝西省、内モンゴル自治区、甘粛省、黒竜江省を始めとする省に大勢の被拘留者を移送している。その数は50万人に及ぶという。

2.【強制収容所の位置・規模が明らかに】

東トルキスタン(89県あり)の各県に少なくても5つの再教育センターがあるとされ、科学者の衛星写真やグーグルマップからの調査で既に収容所位置、その規模が明らかになった。AFP通信社のまとめによると、新疆ウイグル自治区内に明らかになったこうした施設が少なくとも181か所存在する。

それぞれ一か所に数千人から数万人が収監されている。例えば、2017年4月にカシュガル疏附県(コナ・シェヘル)で当時建設予定の収容所の入札募集によると、収容所は3.5万平方メートルの広さで、政府出資1.4億元(約29億円)であった。同様にカシュガル・疏勒県巴仁郷(イェニシェヘル・バリン郷、1990年に有名な「バリン郷事件」発生した場所)は一年前に何もなかった畑に新しく建てられた収容所で、1号館~5号館の4階建「教学棟」(70.5m×17.5m)と管理棟があり、それぞれ面積4943.11 ㎡である。

また、アルトゥシュ(クズルス・キルギス自治州)政府ホームページで、2018年3月21日掲示された、「アルトゥシュ市職業技能教育研修サービスセンター建設項目の環境への影響報告表に対する審査意見」によると、当教育センターは、9.6万㎡規模(東京ドーム2個分の広さ)、政府投資3億5000万元(約60億円)で、収監者部屋(7.6万㎡)、管理用部屋(1.1万㎡)、武装警察用部屋(8.5千㎡)、有刺鉄線のフェンス付き障壁1292m、医療室1200㎡、8460人分の⾷事を作る厨房などから構成されている。名前は技能教育研修センターだが、武装警察、監視塔完備した、8000人が収容できる強制収容所である。

最近、さらに規模が大きい収容施設の実態が明らかになった。ウルムチ市達坂城区に位置する「ウルムチ職業技能教育研修センター」(東京ドームの約12倍)、建築面積13万㎡であった。この収容施設には収容ビル(監獄)が8棟あるほか、留置センタービル1棟、警察備勤ビルが8棟、警察総合ビル1棟、病院棟、レストラン棟、物資倉庫棟、武装警察宿舎2棟、監視塔などがある。推測では約1万人の収監者を収容できるという。そのほか、カラマイ市に地上5メートル、地下40メートルの地下収容所が建設されたことが明らかになった。この秘密の地下収容所には少なくとも1万人を収容する予定だという。

これらの収容施設は、新たな政府投資で建設され、調査で分かったものだが、収監者数があまりにも多いため、入りきれない人たちは、臨時収容所して使っている学校(廃止されたウイグル小中学校)、党校(共産党学校)、専門学校、病院、体育館、倉庫、まだ特定できていない地下施設など様々な施設に収監され、すし詰め状態にあるという。また、ベッドが足りないため、昼と夜の交代制で教育される人と寝る人を入れ替えているという。

AFP は2018年10月24日、中国政府の公開文書を基に収容施設の運営実態に迫ったベン・ドゥーリー記者の記事を北京発で配信した。AFPのまとめによると、新疆ウイグル自治区内にはこうした施設が少なくとも181 か所存在する。センターの建設や運営には多大な費用がかかることから、2017年には自治区全体で司法当局の支出が爆発的に増えている。AFPの試算によれば、当初予算の少なくとも577%増に相当する30億元(約480 億円)近くが投じられたもようだ。

中国政府はこれらの施設を「職業訓練センター」と言い張っている。しかし、その嘘が次の証拠で覆されたのである。自治区南西部ホータン地区のある地方政府でこうした施設を管轄する部署は、今年、数度にわたって次のような物品を調達していた。警棒2768本、電気棒550本、手錠1367個、それに催涙スプレー2792缶。いずれも、教育と関係があるようにはとても思えない品目だ。AFPがこうした入札や予算関係の文書、業務報告書など、公に入手できる中国の政府文書1500点以上を検証したところ、施設は学校どころか刑務所のように運営されていることが分かったのである。

3.【収監者及び関係者の証言】

収容所で8か月収監された経験があり、カザフスタン政府の働きかけで釈放されたカザフスタン国籍のウメル・ベカリ氏の証言によれば、彼はピチャンにある両親を訪ねて行ったとき、身柄を拘束され、危険分子として「カラマイ市技術研修センター」という収容所に送られた。

この収容所には当時約1000人が収容され、8割がウイグル人、2割がカザフ人だった。環境条件が大変悪く、狭い一室に20人以上がすし詰め状態で寝泊まりしていた。⾷事も、トイレも同室で済ませたという。毎日早朝から夜遅くまで中国語でプロパガンダ歌謡を歌わせ、共産党の政治思想、宗教転化(非イスラム化)、民族としてのアイデンティティを破壊するための「洗脳教育」が行われ、その日のテストで不合格なった者や少しでも不満を表した人は厳しく罰せられる(⾷事与えず、手足が絞られた状態でヘッドホンより大音量を流し睡眠できないようにする)という。イスラム教徒の禁物である酒や豚肉を強要されているとの証言もある。

また、中国の強制収容所で働いていて、カザフスタンへ不法入国した罪で逮捕されたサイラグル・サウットバイ(41)が法廷で、中国が存在を否定してきた「再教育キャンプ」について証言した。証言によると、彼女が働いた「キャンプには2500人ほどの収監者がいて、そこは一般に政治キャンプと呼ばれるが、実際は山区の刑務所だった」という。カザフスタン政府は中国からの送還要求を押し切って、サイラグルを無罪釈放し、カザフスタンにいる家族の元に返した。

被拘束者の1人だったウイグル人のミリグル・トゥルスン(29)氏は、2015年から2017年にかけて3度投獄された際に拷問を受けたことを証言した。 2015年、家族に会うために中国を訪れたトゥルスン氏はすぐに拘束され、幼い子どもたちと引き離された。3ヶ月後に一時釈放された時、三つ子の1人の不自然死を目にし、他の2人は健康に問題を抱えていた。子どもたちは手術を受けたとトゥルスン氏は話す。

トゥルスン氏が繰り返し3度も拘束され、それぞれ異なる収容所・刑務所に収監された。トゥルスン氏は3度目の拘束をされた時、60名の女性たちとともに、窮屈で息のつまるような刑務所の監房に3ヶ月間収容された。そこでは睡眠は交代でしか取れず、監視カメラの前でトイレを使用することを余儀なくされ、中国共産党を称える歌を歌わなければならない。トゥルスン氏や他の被収容者たちには、服用すると気絶する錠剤や、女性によっては出血したり生理がなくなったりするような白い液体など、得体の知れない薬が強制的に投与された(その他の報道でも明らかになったが、収容所に入れられた全ての女性は強制的に「不妊化」されているのである)。同じ監房にいた9名の女性が、3ヶ月の間に亡くなったという。

トゥルスン氏はある日、部屋に連れて行かれ、高い椅子に座らされた。両方の手足は固定された。「当局の職員たちはヘルメットのようなものを私の頭の上に乗せました。感電させられるたびに全身が激しく震え、血管に痛みを覚えました」とトゥルスン氏が語った。「それ以外のことは覚えていません。口から白い泡が出てきて、意識が薄れていきました。耳に入ってきた最後の言葉は、おまえがウイグル人であることが罪なのだ、というものでした」。

トゥルスン氏は子供がエジプト国籍であったため、ようやく釈放された。トゥルスン氏は子どもたちを連れてエジプトに行き、その後アメリカ政府の保護を受け、2018年9月に渡米した。その他、在日留学生の証言として、2018年7月19日、NHK-BS1 テレビチャンネルで放送した国際報道番組「中国でウイグル族大量拘束 今何が?」で、そして、2018年11月28日、2019年7月12日のNHK 特集で詳細に報じられた。

4.【収容所で不明の病気が蔓延】

ウイグル自治区政府衛生局の業績とした記事(ホームページで発表されその後削除された)によると、ホータン地区1市、7県の収容所で不明の「伝染病が蔓延」したため、2017年7月9日から8月3日の間に自治区の調査チームを派遣し調査に行った結果、「肺結核」だったということで、558人を病院に搬送・隔離したという。しかし、これらの患者が本当に肺結核なのか、その後どうなったのかは一切明らかにされておらず、政府のよる隠ぺい・情報封鎖が行われたことが明らかである。

5.【収容所から死者が続出】

これまでの報道で各収容所から続々死者が出ていて、一部の老人遺体以外は家族に返されず、家族に会わせることもなく、新しく設けられた一般人が入ることのできない遺体処理・安置所で焼却処分されていると思われる(ウイグル人の民族習慣では亡くなった人に葬儀を行い、故人を専用墓地に埋葬する)。臓器売買のため、臓器が抜き取られた痕跡のある遺体もあったという情報がある。そして、それを裏付ける写真もあった。

空港では「人体器官運送通路」、「人体寄付、移植器官航空運送保障プロセス」標識の専用通路やスペースが用意され、国家ぐるみで人の臓器を強盗していることを示す徹底的証拠である。この内容はThe Epoch Times でも報じられた。

在日ウイグル人一人の証言によると、彼女の弟(24)が昨年5月に収容所で亡くなり、遺体を家族に返さずに当局の監視下で直接処理されたそうだ。死因は何なのか、遺体はどこに、どういう方法で処理されたかなどの情報は一切聞かされていない。電話に答えた親族は「党のケアの元で葬送した、さようなら」と言い他に何も言えなかったという。

6.【ウイグル人口密集地に火葬場】

そして、もっとも不思議なことは、中国当局はイスラム教を信仰するウイグル人が95%以上を占める県、町、村に急ピッチで数多くの火葬場建設を進めている。そして、一般人月給の数倍の賃金で人員(もちろん漢民族)を募集している。今後ウイグル人の死体を火葬するつもりなのかと思うだけでも鳥肌が立つほど恐ろしい。中国政府は一体何をしようとしているのか。これらは「ナチス強制収容所の再現」の予兆とも言えるだろう。

7.【家に残された子供は孤児園に】

また、深刻な問題になっているのは、両親が拘束され、家に残された大勢の幼い子供たちが孤児園に入れられ、ウイグル人のアイデンティティーを無くす漢化教育が行われている。「両親は政治的な問題を抱えているため、子供は通常の子供と一緒に学校に通うことが禁じられている」という。2017 年10 月、南新疆のある孤児院の職員はインタビューに応じ次のように語っている。

「両親が再教育施設収監のために孤児となった生後6 カ月から12 歳までのウイグル人の子ども達を預かっているが、突如として増えた子ども達であふれかえり、仔牛の群れを小屋に入れて飼育しているような状態だ」「福祉が追いつかず、週に一度だけ肉を使った⾷事を出せ、それ以外は基本的におかゆだけだ」「施設は厳重に制限され、外部者が施設内に入れない」。

BBC は公表されている文書と在外家族への取材数十件から、新疆の子どもたちに何が起きているのかを示す、これまでで最も総合的な証拠を入手したと2019 年7 月5 日報じた。中国当局は子どもたちを家族、信仰、言葉から意図的に引き離しているという。記録によると、1 つの町だけで子ども400 人以上の親が、1 人ではなく2 人とも収容所か刑務所に強制収容されていた。

示したデータによると、中国全国で幼稚園入園率8%に対し、新疆では82%、ウイグル密集地域では148%だったという。ウイグル族が最も集中して暮らしている新疆の南部だけでも、当局は幼稚園の建設と改良に12 億ドル(約1294億円)を費やしている。

若い妻のみ残された家には、漢民族の男性が世話役で寝泊まりしているとの情報もある。

      ウイグル女性
       ウイグル女性

8.【アメリカ政府の見解】

アメリカのペンス副大統領は2018 年7 月26 日、首都ワシントンで講演し「中国政府は、数十万人、もしくは数百万人の規模でイスラム教徒のウイグル族を再教育施設という場所に収容している。宗教の信仰と文化的な帰属意識を失わせようとしている」と述べて非難したことを、NHK が昨年7 月27 日朝のTV 番組で伝えた。さらに、7月26日ウイグルにおける収容所問題に関して、アメリカ議会で初めてとなる公聴会が開かれた。

昨年に大統領選に候補者となった上院議員・議長のマルコ・ルビオ氏がこの公聴会を招集した。家族20人以上が拘束され、行方不明となったことをアメリカ ラジオ・フリー・アジアのアナウンサー・記者であるグリチェヒラ・ホジャ、アメリカ国籍のウイグル人)が証言した。また、アメリカ駐国連経済社会理事会大使のケリー・カリー氏が「2017 年4月から、習近平指導下の中国当局がウイグル人に対する弾圧程度は「人を驚かす、ショッキングなものだ」、文化大革命がエスカレートした時期とも比べることができないほど酷いのだ。男子髭の禁止、女性の公衆場でのベール着用禁止、そして短いズボンを着ること、喫煙、お酒を飲むこと、豚肉を⾷べることを拒むことを犯罪と見なし、政府系公式テレビを見ることを拒むことさえ罪に問われている」と述べた。

2019 年7 月18 日に行われた第2 回宗教の自由に関する閣僚会議において、アメリカのペンス副大統領は次のように述べた。「新疆ウイグル自治区ではウイグル人を含む100 万人以上の中国人イスラム教徒が24 時間体制で洗脳に耐え、強制収容所に入れられています。キャンプの生存者たちは、彼らの体験を、ウイグル文化を抑圧し、イスラム信仰を根絶しようとする中国政府の意図的な試みだ」。また、同会議で、アメリカのポンペイオ国務長官も、「中国は現代において最悪とも言える人権危機がまかり通っている国で、間違いなく世紀の汚点だ」と指摘した。

ポンペイオ国務長官は8 月6日、中西部カンザス州の大学で行った演説でこの問題に言及し、「中国は100 万人のウイグル族を強制収容所で洗脳し、文化や信仰を捨てさせようとしている。中国は教育のためだと主張し、人権を保護していると言うが、真実からかけ離れている」と非難した。そのうえで、「アメリカはこの問題を解決し、ウイグル族を自由にするため、全力を尽くしたい」と述べ、今月(2019年9 月)、ニューヨークで開かれる国連総会の場でこの問題を提起し、各国と連携して中国に解決を促す考えを示した。アメリカ国務省報道官からも強力な非難があった。

2019 年9 月11 日に、米国上院はマルコ・ルビオ上院議員とボブ・メネンデス上院議員によって提出された超党派法案である「2019 年のウイグル人権政策法」が可決された。ルビオ上院議員は次のように述べた。「100 万人以上のウイグル人の『政治的再教育』収容所への収容を含む、中国政府と共産党による、新疆における組織的かつ悪質な人権侵害および人道に対する犯罪に対し、米国が、中国に責任を負わせることは、長い間延期されました。」、「今日、上院がこの重要な法案を可決するために行動を起こしたことを嬉しく思います」。

彼はまた、下院がこの法案を速やかに可決し、大統領の机に送るよう促した。ナチス式経験しているとも言える「強制収容所」は、ウイグル民族数千年の歴史の中で経験している最も酷く、ウイグル人の言語、文化のみならず、民族が絶滅する危機に直面している重大な事件であり、中国共産党・習近平政権による国家犯罪である。

2019 年7 月10 日、イギリスや日本など国連人権理事会加盟の22 カ国は、中国・新疆(東トルキスタン)におけるウイグル族の大規模な勾留と収容施設で行われている中国政府の残虐な行為を非難する書簡をジュネーブの国連人権理事会に提出した。その上で中国政府に対し、国連や独立した国際組織の査察団へ、「新疆への実質的なアクセスを認める」よう強く促している。

署名した国は、イギリスと日本のほか、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ラトヴィア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイスの22 か国。

しかし、7 月12 日、ロシアや北朝鮮、シリア、ミャンマーなど合計37 ヵ国の人権を著しく侵害する国々、そして、中国と友好的な関係を育む国々及び中国と取引する国々が、人権に関する実在しない中国の所謂「偉業」を称え、ウイグル族やその他のムスリムを収容施設に勾留する行為は「分離主義」と「テロ」と戦う上で必要であったと指摘する、恥ずべき、不適切な書簡を同じく人権理事会に提出した。

署名したのは、「ロシア、パキスタン、サウジアラビア、エジプト、キューバ、アルジェリア、アラブ首長国連邦、カタール、ナイジェリア、アンゴラ、トーゴ、タジキスタン、フィリピン、ベラルーシ、ジンバブエ、オマーン、ベネズエラ、シリア、ミャンマー、そして、北朝鮮、シリア、ベネズエラなど、人権の侵害をし続け恥ずべき枢軸国及びその他の複数の国々」。一部の国々は、この書簡に署名することで、恥ずべき国々としてこの先何年も記憶されることになると恐らく理解しているだろう。

第三章 ウイグル人社会各界のエリートも収容所に

2017 年から大々的に大に行われるようになった思想改造目的の強制収容施設での不当な拘束が今も続いている。そしてウイグル人社会に何らかの影響を持つ著名人、教育界のエリートたち、医師、著名なイスラム学者、人気のスポーツ選手、音楽家、経済界で成功した経営者が続々と強制収容所に入れられている。中国はこの収容所のことを「職業訓練施設、学校」と言い張っているが、以下に例として名前を挙げる人たちは、高度の知識人であり、職業訓練なんかは必要ないはずである。以下には、代表的な例を挙げる。(ここで挙げた例はメディアなどで公開された情報のみであって、氷山の一角にすぎない。)

1.【教育界】

1)タシポラット・ティップ(60) 新疆大学大学学長

ティップ教授は2017 年5 月に、学会参加のためドイツへ向かう途中、北京空港で当局に拘束され、強制収容所に入れられ、2018 年9 月に2 年間の執行猶予付きの「死刑」判決が言い渡された。ティップ氏は、新疆大学を卒業後、1992 年に東京理科大学で理学博士号を取得。1996年から新疆大学の副学長、2010年から2017年まで同大学学長、党副書記と務めていた。研究プロジェクトの成果から中国教育省に賞を与えられたことも多数あり、新疆では著名な学者だった。

2)ハリムラット・グプル(59) 新疆医科大学の元学長

グプル氏は2017 年に新疆医科大学の学長から自治区⾷品医薬品監督庁長ポストに移動させられた後間もなく、「両面人」として拘束されていたが、2018 年9 月に2 年間の執行猶予付きの「死刑」判決が言い渡された。「ウイグルの分裂独立思想を持った、ウイグルでイスラム国を作ろうとした」との罪名だった。彼は中国伝統医療を学ぶ上海中医薬大学を卒業し、1993 年ロシアのサンクトペテルブルク医科大学で博士号を取得。中国全国最優秀研究者の1人に選ばれるなど、中国全⼟でも名を知られる有名教授だった。医科大学で彼はウイグル伝統医学の継承にも力を注ぎ、民族医学教育ではウイグル語による授業をずっと続けてきた。ハリムラット氏は, 1998 年から新疆医科大学の副学長、2008 年から2017 年まで同大学学長、党副書記と務めていた。上記両大学ホームページの歴任学長リストから、新疆大学元学長タシポラット氏と新疆医科大学の元学長 ハリムラット氏の名前が消されている。これは中国が歴史・事実を平気で消すまたは変えてしまうことの証拠でもある。

2018 年9 月26 日と10 月4 日、次々とラジオ・フリー・アジアから驚く内容の報道があった。なんと、新疆医科大学元学長のハリムラット・グプル氏と新疆大学学長タシポラット・ティップに2 年間の執行猶予付きの「死刑」判決が言い渡されたと、ウイグル現地からの情報として伝えた。「地位を利用して反政府活動を行い、分裂主義を実現しようとした」との罪名であった。この二人は2018 年2月ごろに、「両面人」として強制収容所に入れられていた。現在、この二人は処刑の危機に直面していて、複数の人権団体が今年9月中旬から死刑執行停止を求める活動を展開している。

3)自治区教育庁の庁長  サッタル・サウット

2017 年、「重大な規律違反」で拘束され、強制収容施設に送られた。サッタル氏が任期中に編纂したウイグル語教材は、自治区内で教科書として使われていた。2018 年9 月26 日ラジオ・フリー・アジアから驚く内容の報道があった。なんと、サッタル・サウットに「死刑」判決と2 年間の執行猶予が言い渡されたと、ウイグル現地からの情報として伝えた。

4)自治区政府党委員会元秘書官、教育庁副長官、新疆新聞社 社長を務めたアリムジャン・メメットイミン

5)ウイグル自治区社会科学院副院長や新疆教育出版社 社長アブドゥラザク・サイム(61)

上記三名の方はウイグル語の教科書の編集、出版にかかわる人物であった。そのウイグル語教材は、自治区内で教科書として使われていたが、それらが「文学、歴史、道徳分野には、民族分離を煽る内容が含まれており、それを12 年間も現場で使ったため大勢の若者が深刻な洗脳を受けた」と糾弾され、ほぼ同時期に収容施設に送られたのである。

6)新疆師範大学教授  アブドゥカディリ・ジャラリディン(54)

知名度の高いウイグル文学者で新疆師範大学教授でもあるアブドゥカディリ・ジャラリディンは今年1 月にウルムチ市国家安全局に拘束された。アブドゥカディリはカシュガル師範学院を卒業後、ウイグル文学者の道を歩んだ。彼は、石川県に数カ月滞在したことがあり、その体験を記した本の一部がウイグル語教科書に引用された。ウルムチ市の中で最大級と言われている収容施設に収監されているとされる。

7)新疆大学教授  ラヒレ・ダウット(52)

ウイグル文化研究の先駆者で新疆大学人類学研究所教授、博士であるラヒレ・ダウットが、2017 年12 月北京で消息不明となったとニューヨークタイムズ電子版が8 月10 日に報道した。ダウット氏の家族は、黙っていることで再教育施設、拘留施設から解放されないことが分かったため、ダウット氏が消えてから8 か月後の今、これを話すことを決めたと語ったという。ダウット教授は、日本人研究者の菅原純と共著で中央ユーラシアにおけるイスラム聖堂に関する研究をテーマにした、「マザール、MAZAR」という本を出版していた。

2.【宗教界】

1)著名なウイグル人イスラム学者  ムハンマド・サリヒ)

著名なウイグル人イスラム学者で、『クルアーン』のウイグル語訳者として名を知られる82 歳のムハンマド・サリヒ師が17 年12 月中旬、中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの自宅から突然何者かに連行された。彼は中国共産党の強制収容施設に収監され、約40 日後の18 年1 月24日に死亡した。

2)全国イスラム協会副主席、ウイグル自治区政協の副主席、ホータンイスラム協会主席、

ホータンモスクのイマム  アブドレティプ・アブドレヒム・ダモッラ

2017 年に3 年刑で刑務所に入れられた。

3)カシュガル・トックズタシモスクのイマム  アブリミット・ダモッラ(81)

アブリミット・ダモッラは自宅から突然連行され、収容所に収監された2カ月後の昨年6 月に死亡した。彼は80 年代に新疆ウイグル自治区で初めて寄宿舎付きの私立学校「カシュガル語学・技術専門学校」を開校したベテラン教育家でもある。彼は学校にウイグル語で英語、中国語、アラビア語、トルコ語を教えるクラスと、看護師・歯科医師を育成するコースを設置。全日制だけでなく夜間制の学生も受け入れ、経済的に恵まれない人も教育を受けられるようにした。付属病院も開設し貧しい者への医療費免除など慈善事業を行って人々の支持を集めたが、2000 年頃に中国当局が施設を強制的に封鎖していた。アメリカの短波ラジオ放送「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の報道によると、アブリミットは身柄拘束から2 カ月後の昨年6 月に死亡した。死因は知らされず、葬儀は当局の厳重な監視のもと、弟子たち、周りの住民の参加が許されず家族だけで行われたという。

4)ケリヤ県政協副主席、県メインモスクのイマム イミン・ダモッラ

2017 年5 月に18 年の実刑判決で刑務所に監禁さられた。罪は2016 のメッカーへのハッジ(大巡礼)で「ウイグル分裂意識のある」人にハッジ代行費を渡したことであった。

5)ニルカ県  イスラム学者  アブドレシット・ハジム(65)

アブドレシット氏は強制収容所に監禁されてから9 か月間たった今年の6月5 日に、収容所内で死亡し、頭部分が白い布で覆われた遺体が家族に返された。しかし、家族が遺体の頭・体部分を見ることも許されず、死因が不明のまま、警察の厳重な監視下で埋葬されていたことがRFA の取材で明らかになった。

6)ホータン  イスラム学者  アブドルエヘッド・メフスム(87)

2017 年11 月拘束され、収容施設で死亡していたことが今年5 月にイスタンブールに住んでいる親戚の調べで分かった。彼は7 人の弟子にイスラム知識を教授したことが拘束の原因だったという。

3.【スポーツ界】

人気のサッカー選手エリパン・ヘズムジャン(19)

人気のあったウイグル人サッカー選手エリパン・ヘズムジャンの失踪は、漢人の熱烈なファンたちがソーシャルメディア上で告発して発覚した。今年19 歳の彼は15 歳から中国のサッカーチームでプレーをし、失踪前は中国スーパーリーグの江蘇省チームに所属していた。今年2 月末頃に里帰りしたが、3 月に南京で行われた試合に姿がなかったことを心配する書き込みが相次いだ。RFA は4 月、彼の地元ドルビリジン県へ電話取材をし、同県警察署職員の証言で2 月頃に強制収容所に送られたことが判明した。所属チームの主戦力として1~2 月にかけて、スペインやアラブ首長国連邦で試合に出ていたが、「外国に行ったこと」を理由に、県中心部から約10 キロ離れたトゥルグン村の強制収容施設に送られたという。そこにはウイグル人約1000 人が収容されている。

4.【芸能界】

1)民謡歌手  アブドゥレヒム・ヘイット(56)

ウイグル人の幅広い年齢層に愛されている民謡歌手でドゥッタル奏者(ドゥッタル王)のアブドゥレヒム・ヘイットは、2017 年4月に公安警察に連行されてから行方不明になり、その後収容所で死亡したとの情報があった。これに関連しトルコ外務省は2018 年2月9日、報道官声明を発表し、中国は組織的なウイグル族の同化政策を行っているとして人道上の「大きな恥だ」と批判していた。しかし、中国国営メディアは11 日に、ヘイット氏が「健康状態は良い」と話す映像を公開、声明に反論したのである。中国当局による映像公開を受け、フィンランド在住のウイグル人活動家ムラット・ハリ・ウイグルさんは12 日、# Me Too Uyghur を用いたキャンペーンを立ち上げた。ハリさんはAFP に対し、「中国当局はヘイット氏が生きている証拠だとして映像を公開した。ではわれわれは知りたい、数百万人のウイグル人たちはどこにいるのか」と語っていた。アブドゥレヒムは北京の中央民族歌舞団や新疆ウイグル自治区歌舞団で活躍し、数多くのアルバムも発表した。ウイグルの民族文化に誇りを持ち、前を向いて生きていこうと呼びかけるメッセージ性の高い曲が多いこと、特にウイグル人に広く知られる歌謡「お父さんたち」の歌詞が問題視されたという。

2)ポップス歌手  アブラジャン・アユップ(34)

若くハンサムなポップス歌手も収監されている。若い女性を中心に熱狂的人気を誇るアブラジャン・アユップは、「ウイグルのジャスティン・ビーバー」と欧米誌に紹介されたこともある。ウイグル語のみならず英語や中国語でも歌っていたから漢人にも人気だった。今年2 月に上海でコンサートを行った2 日後、ウルムチで拘束された。昨年マレーシアを訪問したことや、民族や故郷への愛を歌っていたことなどが原因とささやかれている。

5.【メディア関連】

1)ミスラニン・ドットコムの創設者  アバベキリ・ムフタル

インターネットのウイグル語サイトも一昨年から昨年にかけて続々と閉鎖され、運営者がことごとく拘束された。また、同サイト管理人トゥルスンジャン・メメットも行方不明になっている。トゥルスンジャンの父親はRFA の取材に応えて、「自宅から6 人の公安に連れ去られ、どこに居るかさえ分からない」と証言した。

2)バクダシ創設者 アクバル・エゼッド

3)ボズキルの創設者で自治区教育庁職員 アデル・リシット

4)テレビ番組の脚本家として知られるオマルジャン・ヘセン

5) 新疆人民ラジオ局記者で新疆教育出版社の教科書編集者でもあったジャーナリストのヤルクン・ルーズ (52)も行方不明になっている。最近の情報では、17年刑で刑務所に入れられたという。2018 年9 月25 日ラジオ・フリー・アジアから驚く内容の報道があった。ヤルクン・ルーズ氏に「終身刑」が言い渡されたと、ウイグル現地からの情報として伝えた。

ウイグル語書籍は粛清のため書店や一般家庭から没収された。新疆ウイグル自治区文学芸術連合の元会長で、詩人のイミン・アフメディ は昨年6 月、RFA の取材に対し「過去に出版されたウイグル人作家の著作が再検査されている」と語った。ウイグル人に愛読され、現代ウイグル文学を代表する小説であるアブドゥレヒム・オトキュル『目覚めた大地』や『足跡』、ゾルドゥン・サビリ『母なる故郷』なども規制の対象になった。

6.【経済界】

1)イリ・カザフ自治州  慈善家・不動産開発商  ヌルタイ・アジ

China Aid がイリ・カザフ自治州及びカザフスタン人の商人から得た情報によると、有名な慈善事業、不動産開発商のヌルタイ・アジが昨年、20 年の刑で刑務所に送られたという。ヌルタイ氏はヌルタイ氏個人の全額寄付で孤児、貧しい子供たちのための、全寮制の寄宿学校「努尔塔依阿吉学校」を建設し、これまでに多くの学生を支援していた。China Aid の情報では、ヌルタイ氏と一緒に10 数名のウイグル、カザフ商人が逮捕されたという。ウイグルの他の地域でも銀行に一定額(100 万~数100 万元)以上の貯金がある人たちも次々と拘束されている。

2017 年5 月に、カシュガル地区で最も成功した経営者ウイグル人の以下4 名が「宗教的過激主義」という罪で投獄された

2)カシュガル貿易協会会長 物質運送会社経営者 アブドジェリル・ハジム

3)カシュガルEmin貿易市場オーナー  ゲニ・ハジム

4)カシュガルEziz Diyar 市場オーナー  メメット・トルソン・ハジム

5)カシュガルIbnsina 歯科病院オーナー  イミン・ハジム

以上の4 人いずれにも「ハジム」という名称がついているのは、イスラム聖地のメッカーにハッジに行って来たことを意味する。RFA の電話インタビューに答えた現地の保安員の情報によると、罪は「承認されていない民間の巡礼に行った」、「宗教的過激派の兆しがあった」という。4 人は8 年から18 年の懲役刑を言い渡された。

6)カシュガルKasirホテルのオーナー レストラン経営者 オブルカスム・ハージ(67)

RFA のインタビュー情報によると、彼は2017年12月5日入院していたウルムチ市の病院から公安に連行され、再教育キャンプ(強制収容施設)に送られたそうだが、拘束理由や監禁場所がいまだに不明。

7.【官僚・公安関係者】

1)ウイグル自治区林業庁長 エズズ・ケユム

2)ホータン地区公安局副局長 ニジャティ・アウドン

3)ホータン地区公安局元副局長 エリ・イミン

4)ウイグル自治区特捜部ホータン支部隊長 アブドカデル・アブラ

5)ホータン市公安局副書記 政委 ヤリクン・アブドラザク

6)カシュガルカラカシ県公安局元副書記 政委 アバベキリ・イリ

7)ホータン地区公安局国保支部課長級捜査員 モハタル・トスン

らが「重大な規律違反」で拘束され、最近の状況は不明である。

8)ウイグル自治区チャルチャン県公安局政治委員  アリフ・トルソン

8月18日の現地新聞が、アリフ氏が「テロリスト、3種勢力と協力し、庇った」とし、拘束されたことを報じた。

9)ウルムチ市公安局元副局長 カディル・メメット

ウルムチ市公安局現役副局長  ジュレット・イブラヒム

最近、2019年8月と9月に、ウイグル弾圧・厳打で冷酷無情な悪人と知られている、ウルムチ市公安局の元副局長カディル・メメット氏と現役副局長のジュレット・イブラヒム氏が相次いで拘束されたことがRFA より報道された。この二人はいずれも、ウイグル人拘束、収容所のことを知りすぎ、一部の内密情報を漏らしたとの疑いで拘束されたと推測されている。

8.【地方の党・政府責任者】

2016 年に元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳全国が新疆ウイグル自治区の書記に就任してから、権力を誇示する最初の威圧的行動は、ホータン地区基層の97 名幹部への問責・免職処分を実行することだった。陳の指示で組織された共産党幹部らの査察グループが2017 年3 月12 日からホータン地区の各町、村に入り、たった一週間ほどの調べを行ったあと、3 月26 日各種の理由で97 名幹部(ほとんどウイグル人)に一気に免職処分を下した。

処分内容から人権侵害の典型的な例であることがわかる。例えば、ホータン県のブザク郷党支部書記のジェリリ・マイティニヤズは「宗教師の前でタバコを吸うことに躊躇した」理由で懲戒免職された。97 人の懲戒免職理由には、そのほかに、「毎朝の国旗揚の怠慢、揚回数の誤報、住民宅へ走訪・個人情報データの収集を徹底していない」など様々なレッテルがあった。

第四章  “新疆のウイグル自治区”  中国高度な監視下の野外刑務所

1.中国当局はウイグル地域を野外刑務所化

1.1【漢民族の大量移住】

中国内陸から漢民族をウイグル地域に大量移住させるのと同時に、多くの若いウイグル人・未婚女性を労働力として中国内陸の工場などに移送し、ウイグル自治区におけるウイグル人口比率の減少を図っている。他に少数民族までに適用された“計画生育”制度も功を奏して、1949 年に6%だった漢民族人口が、2010 年には40.1%に達している。「新疆軍区」数十万軍人とその家族、300 万人以上とされる「新疆生産建設兵団」の人口はこれに含まれない。漢民族がこの地に大挙進出してきて、経済発展の恩恵を独占した結果でウイグル族との格差が広がる一方である。中国当局によりウイグル人に対して差別的政策が実施され、憲法で定めたウイグル人固有の言語、文化的・宗教的権利も侵害されてきた。

1.2【7・5 ウルムチ虐殺】

そんな中、2009年6月に中国広東省の玩具工場で労働者として勤務しているウイグル人が中国人に襲撃され多数が殺傷された事件に対する中国政府の対応への不満がきっかけに、ウイグル人の怒りがさらに高まった。同年7月5日にウルムチ市でウイグル学生らによる大規模なデモが発生した。平和的な抗議行動は、中国当局の軍、によって、過剰な武力行使を通して残虐に制圧され、数千人がウルムチの町で殺害され(中国当局の発表では197人死亡)、殆どのデモ参加者が逮捕された。これは「7・5 ウルムチ騒乱」「7・5 ウルムチ虐殺」と呼ばれる。

1.3【悪漢・陳全国】

2009 年以降、中国共産党当局によるウイグル人の監視はさらに強まった。特に、元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳全国が、2016年に新疆ウイグル自治区の書記に就任してから、ウイグル人への監視・弾圧が特段に強まった。新疆ウイグル自治区は、習近平政権が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の戦略的要衝でもあり、そこに完全に監視され・封じ込められた社会を作り上げることが習近平政権の謀略と言えるだろう。陳は、1 年も経たない間に、9 万人を越す治安関係ポストを募集し、ウイグル地域における「監視社会」の完成を手掛け、2017 年1 年間でウイグル自治区の警察の人員が2015 年の6 倍にまで膨れあがった。

ウイグル自治区全地域で、500m間隔で交番が設置され、一つに8~30名の武装警察が配備された。アクト県だけで2017年10月以降、68個の交番を新たに設置したことを現地で当番中の警察がRFA のインタビューで明らかにした。陳全国は、ウイグル全地域で上述した「再教育センター」というナチス式強制収容所や以下で述べる監視社会を作り上げた首謀者・真犯人である。

1.4【最先端の監視技術の実験場】

中国国内には昨年秋の時点で監視カメラが1億7000万台設置されており、今後3年間でさらに4億台が追加されると推定されている。監視カメラの多くには人工知能(AI)が搭載され、顔認証技術などを備えている。その「最先端の監視技術を試行する実験場」となったのは新疆ウイグル自治区である。中国政府は2017 年第1 四半期(1~3月)にウイグル自治区で10億ドル(約1130億円)以上に相当するセキュリティー関連の投資計画を発表したとウォール・ストリート・ジャーナル紙が明らかにした。

国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は明らかにした情報によると、中国当局は、問題を起こす危険のある人物を特定し、先んじて拘束するため、新疆ウイグル自治区に大量のデータを駆使した監視プラットフォームを配備している。この「予測による治安維持」プラットフォームについて、当局が監視カメラの映像や、通話・旅行記録、宗教的志向などの個人情報を統合・分析し、危険人物を特定するためのものだと説明する。カシュガル市だけで今年3月、5100万ドル(約55億円)以上を投じて、統合データプラットフォームを含む監視システムを購入・設置した。

この監視カメラシステムは、瞬時にして人の顔と歩き方を識別して個人を特定し、データベースと照合して年齢、性別、身長、民族アイデンティティを判定。その上、親族や知人といった人的ネットワークまで割り出すことができるという。米政府は最近、ウイグル監視に関連する中国の企業5社をブラックリストに掲載し、米国の重要技術利用を事実上禁じることを検討していることが分かった。これらの5社は、曠視科技(メグビー)、杭州海康威視数字技術、浙江大華技術、美亜柏科信息と科大訊飛である。米政府は、顔認証機能を持つ杭州海康威視数字技術と浙江大華技術の監視カメラがスパイ活動で使われる可能性についても憂慮しているという。

1.5【政治的信頼度点数表】

ウイグル人の研究者で記者のタヒール・イミン氏は昨年2月、新疆から米国に亡命した。同氏はウルムチに住む友人が6月、当局に拘束されたと話す。定期的な礼拝、パスポートの所持、トルコへの渡航記録が減点の対象となったという。そして「マイナスポイントが70を上回ると、危険人物と見なされ、警察に通報される。警察はこれを受け、拘束した人物を再教育センターに送る」と明かした。

以下の「人口個人情報採集表」は、ウイグル自治区全地域で「危険人物」を割り出すために使われているものである。表の右側に「重要情報」とされた内容は、年齢が(15~55歳)、ウイグル人か、失業者か、パスポート保持者か、毎日礼拝するか、宗教知識があるか、26の“センシティブな”国に行ったことがあるか、海外とのつながりがあるかなどである。また、ウルムチ市の各社区で実際の登記に使われている「常住戸民族語系点数表」によると、各住民一人一人に10カテゴリーで10点ずつ点数付け、ウイグル人の政治的信頼度を評価している。

例えば、この表の1番目のイブライム・イスマイル氏(83)には50点付けられ、「一般注意人物」とされている。ウイグル人であれば10点、パスポート保持者であれば10点、礼拝していれば10点、宗教知識があれば10点、対象の26か国のどれかに行ったことがあれば10点それぞれ引かれ、合計点数は50点となっている。この点数が低いほど「危険人物」とされる。

もし、この方が55歳以下で、海外とのつながりがある人だった場合は、点数が30点(マイナス70点)で、即拘束対象となり、強制収容所に送られることになる。亡命者の証言によると、誰が礼拝しているか、誰が断⾷しているか(イスラム・ラマダンの時期にどの家の人が夜中に起きて明かりをつけているか、職場、学校でお昼ご飯を⾷べていないかなど)を常にチェックするため、町、村、学校で10人を1グループにし、相互監視体制を作っている。知っている情報を隠した人も罰せられるようになっている。また、政府幹部に住民と「親戚(双親)」を作らせ、住民の宗教意識、共産党への忠誠心を調べ、人ひとりに点数をつける任務を与えている。その中で、収容所に入れられた若いウイグル女性がいる家に「親戚」となった漢族男性が寝泊まりするケースもあるという。

1.6【一般家庭に政府幹部が宿泊】

国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が「ウイグル人家族の家に中国共産党政府職員がホームステイしている」と5月13日に報告を発表した。報告によると、ウイグル人密集地域の一般家庭が近年、政府幹部による定期的な「ホームステイ」の受け入れを強いられている。中国政府による「民族団結」を名目とした厳しい監視が目的とみられ、官製メディアの情報として、当局は2017年に職員100万人を同地農村へ派遣したと伝えている。職員をウイグル人家族と「共に⾷べ、共に住み、共に労働し、共に学習」させるという。

1.7【スマートフォンにスパイウェアを強制装着】

中国にいるウイグル人はまた、2017年4月からスマートフォンにスパイウェア・アプリをインストールすることを強制されている。ラジオ・フリー・アジアの報道によれば、「百姓安全」、「Jinwang」と呼ばれるこのアプリは、政府が市民の携帯デバイスをスキャンし、「テロリストや違法な宗教に関する映像・写真・ファイル類を所持していないか確認する」ためのものだという。これらのアプリをインストールすると微信(Wechat)やSNS「微博(Weibo)」のログ、SIMカード情報、Wi-Fiのログイン情報などがサーバーに送信される。インストールを拒否したり、一度インストールしたアプリを削除したりすると、10日間拘束されることがあるとのこと。

今はすべてのウイグル人が24時間監視され、Wechatなどを通して海外にいる親戚と連絡することも一切できなくなっている。我々海外にいる人たちはウイグルにいる親戚から「連絡しないで」と言われている。公安警察からハラスメントや脅迫を受けていると思われる。

1.8【全車両にGPSを強制装着】

中国当局また、ウイグル地域にあるすべて自動車に対し、中国版全地球測位システム(GPS)「北斗」の端末の設置を義務付けたと米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。昨年の6月30日までに全車両への「北斗」の端末設置を終える計画となっていた。重機や工事用の車両なども対象となり、端末を設置していない車両は、ガソリンスタンドで給油が拒否されるほか、中古車市場で取引ができない。

1.9【ウイグル人のパスポートを没収】

中国国内でパスポートを持っている全てのウイグル人からパスポートが没収され、観光や留学のため海外に行くことは非常に難しくなった。海外留学のため、新しくパスポートを作ることはできなくなった。両親のことが心配で海外から一時帰国した学生のパスポートも没収されるほか、再教育センターに入れられたケースもある。

1.10【ウイグル人逮捕者数が全国の21%】

中国の人権を監視する国際NGO組織・中国人権擁護(Chinese Human Rights Defenders)は、7月25日にウイグル人逮捕者数を発表した。中国政府が発表した数字によると、2017年に新疆ウイグル自治区で、刑事的罪で逮捕された人数は全国の同じ罪で逮捕された総数の21%を占めたという。新疆人口は中国全国人口のわずか1.5%を占めているにもかかわらずだ。中国人権擁護は、2008~2017年間にウイグル自治区で逮捕された人数の比較調査を行い、2017年1年で227,882人が逮捕されたこと、これは2016年の逮捕者数27,404人の8.3倍だったことを明らかにした。報告では、これは中国当局が「三股勢力」(暴力恐怖主義、民族分裂主義、宗教極端主義)名目の厳打(厳しく取り締まり)運動の結果との認識を示した。

2.中国当局はウイグル住民からDNA など生体データを採集

2.1【検診名目でDNA 採集】

中国国営の新華社通信は2017年11月、衛生当局の統計として、新疆の総人口の9割に相当する約1900万人がこの「検診」を受けたと伝えた。また、中国最大手インターネットポータルサイト「新浪(Sina)」が2017 年11月1日、新疆ウイグル自治区衛生計画生育委員会から入手した情報として、ウイグル自治区は昨年15.85億元投資し、全自治区で1884.48万人、その中、南疆4地区・州(ウイグル密集地域)で912.71万人(100%)の検診を終えたと伝えた。

国際NGO人権組織の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、このような大規模な強制収集は国際人権規約を踏みにじるものだと批判した。当局に「全民検診」と呼ばれたこの無料のプロジェクトは、12 歳から65 歳までの住民を対象にDNAや血液のサンプル、指紋、虹彩、血液型などの生体データを集めている。なぜ1000 万人近くのウイグル人から血液サンプルの採集とDNA 検査が必要なのだろうか。最も考えられるのは以下の「臓器狩り」のためである。

臓器移植や造血幹細胞移植では、レシピエント(受取人)自分のDNA、具体的に言えば白血球抗原であるHLA のタイプに合わないものはすべて異物と認識して攻撃を始めてしまうため、HLA の適合性が重要視される。そのためにHLA 検査を行い、ドナーとレシピエントの適合性を読みとることが必要となる。

HLA とは?

赤血球にはA型、B型、AB型、O型などの血液型があり、輸血の際には血液型を一致させないといけないのだ。同様に白血球をはじめとする全身の細胞にはヒト白血球抗原(HLA:Human Leucocyte Antigen)と言われる型があり、移植には患者とドナーのHLA型の一致する割合が関係してくる。HLA型でA座、B座、DR座というのがあり、完全一致から一部一致の優先順位がある。

2.2【臓器狩り】

第一章でも述べたが、これまでの報道で各収容所から続々死者が出ていて、家族に返す・見せることなく、新しく設けられた一般人が入ることのできない遺体処理・安置所で処理されている。臓器売買のため、臓器が抜き取られた痕跡のある遺体もあったという情報がある。以下の写真1.2 はその証拠である。これは観光でウイグルに行った日本人により2018年1月にカシュガル空港で撮られた写真であり、空港では「人体器官運送通路」、「人体寄付、移植器官航空運送保障プロセス」標識の専用通路やスペースが用意され、国家ぐるみで監禁されている人から強制的に臓器を摘出していることを示す徹底的証拠である。

ウイグル出身(東トルキスタン)の在英の元外科医エンヴァー・トフティ氏は、こうした不合理な新疆地区住民のDNA 採取について、中国移植権威で富裕層や外国人移植希望者のための移植用臓器となる「生きた臓器バンク」とし、住民を秘密裏に「ドナー登録」しているのではないかとの推測を述べた。

また、アラブ諸国からの臓器移植希望者は信仰により、豚肉を⾷べない人のドナーを希望する場合がある。トフティ氏は近年、新疆を訪れて、宣伝広告された「ハラール・オーガン(豚肉を⾷べていない人の臓器)」を入手している人が増えていると述べた。中国での不法な臓器移植の実態を調査している中国臓器収奪リサーチセンター(本部・ニューヨーク)によれば、中国の病院で臓器移植の手術を受ける患者の待機時間は平均で1~4週間。最短では数時間で適合臓器が見つかることもあるそうだ』。これは世界の移植医学の常識からは考えられない短さである。ドナー登録制度が確立した世界最大の移植大国であるアメリカでさえ、心臓なら8ヶ月、肝臓なら2年2ヵ月、腎臓では3年1ヵ月の平均待機時間を要する。その上、移植手術に求められる血液型と細胞の組織型の同時一致がみられる割合は、兄弟姉妹の間では4分の1の確率とされるが、非血縁者間では、数百から数万分の1の確率でしか一致しない。ところが、中国に行けば通常、1週間から4週間で適合する臓器が見つかるというのだ。

なぜ中国でのみ、このように世界常識を覆す迅速な移植手術が可能なのか?

中国には、需要があれば直ちにそれに応えられる大量の臓器ストックがあるからだ――としか考えられない。

中国臓器収奪リサーチセンターの調査報告によると、現在中国で行われている臓器移植の数は6~10万件だという。2013年に中国はドナー登録制度を採用し、2015年には死刑囚からの臓器摘出を中止したと発表した。しかし、2017年現在、ドナー登録数はいまだ5500人程度にとどまり、年間6万から10数万件規模で行われている移植手術のための臓器の出所は到底説明できない。中国衛生部(厚生省)の前副部長・黄潔夫氏は2017年7月26日、AP通信のインタビューで、2020年には、中国は米国を抜いて世界一の移植大国になると主張した。堂々と宣言できるほど、「臓器狩り」は国家ぐるみのプロジェクト化されたことである。こうした「中国での強制臓器収奪問題」に関して、2019年6月17日に英国ロンドンで開廷された「中国の強制臓器収奪に関する民衆法廷」で、「中国では違法な臓器の収奪と移植がいまも続いている」との立証であり、「人道に対する犯罪」の“有罪判決”が下された。

参考
中国の臓器狩りは法輪功が最初である。
これは当時の国家主席の江沢民が自らの政権を揺るがす脅威と
みなして迫害を開始したのである。

この江沢民という男は、天安門事件後、再び中国の若者が民主化
に走らないようにこのときから反日教育を始めたのである。
それ以前は日中は日中友好関係にあり、戦前の問題は一切言わな
かったのである。

3.海外在住のウイグル人(留学生、永住者、帰化者)も監視対象に

3.1【在日ウイグル人の被害】

東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で300万人を超えるウイグル人が「再教育センター」と呼ばれる収容所に収監され、著しく人権被害を受けていることをアメリカ、ヨーロッパ各国のメディア、政府機関、国連などが続々報道し、厳しく非難した。昨年7 月ごろから日本でも報道され始めた。

2018年7月19日、NHK-BS1テレビチャンネルの国際報道番組「中国でウイグル族大量拘束 今何が?」で、中国のウイグル人への弾圧、収容所の実態を報道した。これは日本において、主要メディアとして初めての報道であった。当番組で在日のウイグル人8名が「家族が収容所に送られ、全く連絡がつかず、生きているか死んでいるかもわからない」と証言した。その後の、NHK テレビ及びWeb 特集として何回も報道があり、徐々に日本の諸メディア(テレビ、新聞、ネットニュース)で活発にウイグル弾圧の状況や在日ウイグル人の証言が報道されるようになった。

日本には約2000 名のウイグル人がいるとされていて、多くのウイグル人の家族が同じく中国で被害を受けている。しかし、その多くはウイグルにいる家族、親戚がさらなる被害・弾圧を受けることを恐れて、沈黙しているのが実情である。だが、「今こそ、国で沈黙せざるを得ない同胞に代わって、国外に住む私たちが声を上げるべきときだ」という在日ウイグル人も増えている。上のNHK番組でも紹介されたが、在日ウイグル人人権団体である「日本ウイグル協会」の呼びかけで、7月1日東京の中心繁華街である新宿で大規模なデモが行われた。

これまでに沈黙してきたウイグル人100人以上が参加した。デモでは、「不当な拘束をやめろ」、「強制収容所を閉鎖しろ」、「家族を返せ」、「お父さんを返せ」、「ウイグルに自由を」、「日本人は我々を助けてください」と訴えた。7月7日また六本木、中国大使館前で150人以上のウイグル人によるデモがあった。これほど多くの在日ウイグル人が中国のウイグル人弾圧を訴え、このようなデモに参加したのは初めてであった。

ウルムチ大虐殺事件から10年経った2019年7月5日に、NHK総合テレビは、「ウルムチ大虐殺から10 年」(ニュースウオッチ9)という番組を放送した。また、2019年7月16日に、NHK国際報道「大規模デモ10年追い詰められるウイグル族」で、さらに詳細な報道があった。

その番組で、数名の在日ウイグル人が証言した。

その一人のアフメット・レテプさん(41)は次のように語った。「一昨年の2017年、故郷で暮らす父と弟をはじめ、親族12人が公安当局に拘束された。母親とも去年2月を最後に、連絡が取れなくなった」。そして、その1か月後の3月、今度はアフメットさんの携帯に、突然父親の映像が送られてきた。送り主は「地元公安当局」を名乗る男だった。1年ぶりに見た父親は、いつもかぶっていた伝統の帽子を脱ぎ、イスラム教徒の高齢男性が生やすひげもそり落としていた。

「これは私が知っているお父さんじゃない。全然違う。別人だ」とアフメットさんが涙を流していた。

その後、「地元公安当局」を名乗る男から音声メッセージが携帯に送られてきた。「日本のウイグルの組織に直接参加しないにせよ、状況は把握しているはずだ。我が国の立場に立って協力してくれれば、家族の問題はすぐに解決できる。私の言っている意味が分かりますよね?」。

故郷の家族をいわば人質にして、日本にあるウイグル族の組織の内部情報を流すというスパイ行為に協力するよう要求してきたとアフメットさんは受け止めた。精神的に追い詰められたその時の気持ちを、涙を流しながらこう語っていた。

「断れば家族がさらに迫害を受けることは明らか。でも協力すれば自分自身が人間として許せない」。

家族の身を案じるアフメットさんは、1年以上、受け取った映像やメッセージを公にすることは控えてきた。しかし、沈黙を続けていても、事態は変わらないと考え直し、NHKの取材で公開することにしたという。同じことが在日ウイグル人多くの身におこっていることである。一時帰国して日本に戻ってこられないケースや家族が強制収容所に入れられているだけでなく、収容所で突然亡くなったケースもある。

私たちが把握した情報では、例えば、2年前に娘を連れて一時帰国したお母さん(Mさん)は、パスポートが没収され、母子とも日本に戻れていない。在日ウイグル人Gさんの弟(24)が昨年5月に収容所で亡くなり、遺体を家族に返してくれなかったという。死因は何なのか、遺体はどこに、どういう方法で処理されたかなどの情報は一切聞かされていない。電話に答えた親族は「党のケアの元で葬送した。さようなら。」といっただけで、他に何も言えなかったという。

その他、在日ウイグル人で中国パスポートの有効期限が近づき、中国大使館に更新手続きに行ったところ、中国新疆に帰って現地で更新してくるように言われ、更新できなかった人が何人もいる。その中にパスポートの有効期限が既に切れ、中国に帰ることもできず(中国に帰ると収容所に送られることが明白であるため)、困っているウイグル人がいる。また、日本の大学院を卒業したらウイグルに帰るつもりで、日本で就職活動をやっていなかった人で、中国に帰ることを恐れて、日本に残らざるを得ない人や日本滞在ビザの心配をしている学生も多数いる。

在日ウイグル人(帰化者を含む)の被害状況をまとめると以下のようになる。

  • 日本(海外)にいるウイグル人は中国にいるご家族と連絡が取れなくなっている。
  • 在日ウイグル人でもご家族が収容所に収監された人が多数いる。
  • 在日中国大使館がウイグル人のパスポート更新申請を受け付けなくなっている。
  • 一時帰国者が収容所に入れられたりして日本に戻ってこられなくなっている。
  • 中国にいる家族が人質に取られて、留学生ら自身は帰国やスパイ活動が強要され、「従わないと家族を再教育センターに送る」と脅迫されるケースが増えている。
  • 帰化やビザ申請に必要な書類の中国からの取り寄せができなくなっている。

3.2【海外にいるウイグル人の被害】

中国政府はウイグル弾圧の手を海外まで伸ばしている。例えば、以下のような報道がある。

1. エジプトで中国のウイグル族の拘束・強制送還相次ぐ
2. 海外にいるウイグル人にスパイ活動を強要
3. 親族訪問・一時帰国者のパスポート没収、「再教育センター」へ収監

第五章 中国のウイグル言語への侵害状況

ウイグル語教育  →  「双語」教育  →  漢語のみの教育への転化

→  幼稚園、小・中・高校、大学でのウイグル語使用全面禁止へ

1949年に中国人民解放軍の侵攻により共産党支配下に置かれ、1955 年に設置された新疆ウイグル自治区(東トルキスタン)の当初は、東トルキスタン・イリ政府と中国共産党の交渉、平和条約の約束通り、それまでに展開されてきたウイグル言語など独自の民族言語による教育が継続された。1950年初頭からは漢語が選択科目として導入されていた。しかし、1960年代に入ると次第に漢語教育が重要視されるようになり、漢語が民族学校において必須科目となる一方、漢語学校に設置されていたウイグル語の選択科目は廃止された。1977年から新疆ウイグル自治区政府は少数民族への漢語教育の強化を政策課題としてさらに強調するようになった。

1982年制定の中華人民共和国憲法では、少数民族言語による教育が保護されることになったが、実際には教育現場における漢語への一元化が推進されていった。1990年代末からは少数民族の漢語習得、主流文化の吸収が強く促されるようになる。2004年に交付された「全面的に双語(バイリンガル)教育を推進することに関する決定」により、ウイグル語の授業のみをウイグル語で行い、その他の科目はすべて漢語で教える「双語教育」に取って代わられることとなった。

2010年からウイグル全地域において幼稚園、小学校一年から「双語教育」が実施されるようになり、中国内陸からウイグル語が知らない漢族教師が大量に投入された。

例えば、2017年4月26ホータン地区・チラ県政府ウェブサイトでの募集によると、人口13万人のこの県だけで1093人の教師を中国内陸から募集している。またホータン地区政府からも中国内陸向けの同様な募集があり、現地一般教師給与の2倍以上の賃金が提示されている。これにより、学校ではウイグル語の授業がほとんど行われなくなり、漢語を習い始めたばかりの子どもたちに、すべての授業を漢語で行うようになった。一方、これまでに長年ウイグル語による授業をやって来たベテランの優秀な教師たちが、漢語水準が満たない理由で「下放」された(教育現場から追い出された)。教育レベル、学生の知力が著しく落ちていった。

この時、ウイグル言語に対する危機を感じた有志の教育者が私立のウイグル語幼稚園、小学校の設立を試みた。現在トルコ在住のアブドワリ・アユップ氏がウイグル語学校設立を仕掛けた一人である。彼は2011年アメリカ留学から帰国したあと、カシュガルでウイグル語学校を立ち上げた。しかし、2013年にアブドワリ氏を含む学校設立に関わった3人(他DilyarObul, Muhemmet Sidik Abdurshit)が、寄付で集まった支援金の「横領罪」で投獄され(明らかに冤罪である)、ウイグル語学校計画が滅ぼされたのである。(その後、アブドワリ氏は治病のためトルクに渡り、現在もウイグル語保護活動を続けている)。

また、中国でウイグル族が直面している現実への理解と問題解決を訴え、当局の政策に批判的な声を上げた知識人、中央民族大学(北京)の著名なウイグル族経済学者、イリハム・トフティ准教授が「国家分裂罪」に問われ、2014年9月23日、無期懲役判決で投獄された。

2016年に元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳全国が新疆ウイグル自治区の書記に就任してから、ウイグル語の使用禁止、漢語教育のみを実施という重大な人権侵害、同化・民族浄化政策を露骨に展開してきた。これは陳の指示で設置した洗脳のための「再教育センター、強制収容所」や監視社会体制以外のもう一つ謀略である。ウイグル語禁止政策は以下の各地区政府の通知・通達の内容から見取れる。2017年7月5日、ホータン地区政府のホームページに、「ホータン地区双語教育規定5カ条、小中学校双語教育強化」という規定を発表した。

内容は

  • 国家通用言語文字(漢語)を全面普及し、民族言語を付加した双語教育原則を堅持すること
  • 2017年秋学期から小学校入学前の3年で国家通用言語文字教育を徹底し、小学校1年、中学校1年から国家通用言語文字教学を全面実施、2020年には国家通用言語文字教学を全体的に実現すること
  • 漢語教師がウイグル語で研修受けるという間違ったやり方を止めること
  • 教育系統内、学校内でウイグル語文字、スローガン、図画などの使用を断固禁止すること
  • 教育系統の集団活動、公共活動、管理ワークの中でウイグル語の使用を断固禁止すること。

以上の双語教育政策に対して怠慢、不履行、小細工などをした人は、「両面人」として厳重に懲罰される。

そのほか、「ホータン地区学前(入学前)教師8カ条ルール」、「ホータン地区国語教育8カ条規定」などがある。

2017年10月10日、イリ・カザフ自治州イニン県教育局が、自治区教育庁の「少数民族文字教材補選使用に関する通知」を通達し当県において、

  • 全てのウイグル語とカザフ語の「国語」教材の使用を停止すること、学校にすでにある教材は封存すること
  • 国家統編の教材「道徳と法治」、「歴史」教材の少数民族文字に翻訳が終わっていないものを含め、使用を

停止すること

  • 関連学科少数民族文字の教材・補助資料の使用を停止すること
  • この「通知」要求により、各学校が教材・補助教材選択・使用規定に違反してはいけない、問題発覚時はすぐ報告すること

という内容を発表した。

ウイグル語使用禁止と同時にウイグル語教科書、文学・歴史に関係する出版物の焼却が各地で行われた。各地書店(新華書店)では、棚からウイグル語で出版された本が消えた。

第六章 中国のウイグル文化・宗教への侵害状況

ウイグル人は、ユーラシア大陸のほぼ中央に位置し、シルクロードとも言われてきた東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)を中心に暮らす、独自の歴史と文化を持つイスラム教を信仰する人々である。ウイグル人は、8~9世紀に約100年継続した「ウイグル可汗国」、9~13世紀に約300年繁栄した「天山ウイグル王国、天山山脈北麓)」と「カラ・ハン朝、タリム盆地)」、16~17世紀に165年繁栄した「セイディア汗国」(ヤルカンド)などを建国していた。こうした独立のウイグル国家は18世紀から清朝の支配下におかれ、1884年に「新しい領⼟」を意味する「新疆」という名前が付けられた。それでも、ウイグルの反抗が途絶えず1933年と1944年に「東トルキスタン共和国」として独立国家を設立していた。

しかし、1949年に再び中国人民解放軍の侵略により、共産党支配下に置かれ、1955 年に「新疆ウイグル自治区」という名前が付けられた。自治区と称しながら実質的に自治権がない場所となった。ウイグルは、かつて仏教やマニ教も信仰した歴史もあったが、8世紀からはずっとイスラム教を信仰してきた平和を愛する農耕民・遊牧民である。ウイグルは、長い歴史の中でアジア、ヨーロッパ文化も吸収しながら、独自の言語(ウイグル語)や文化・習慣を培って、守ってきたのである。ウイグルは、古代から音楽・踊りを生活の一部として、それを発展させながら、非常に明るく平和に暮らしていた。ウイグルの古典音楽「12ムカム」は歌、ダンス、音楽が一体となったもので、その素晴らしさが認められ、「世界無形文化遺産」に登録されたほどである。ウイグル人は中国で「能歌善舞」(歌も踊りも上手な)民族と呼ばれてきた。

ウイグルは、何千年もの歴史の中で、男性は髭を生やすのと伝統的な帽子をかぶり、女性はベールをかぶるのと肌脚を露出しないようにロングスカートを着るという習慣を作ってきた。しかし、今現在、中国共産党の支配下にある、実際に全く「自治」のないこの「新疆ウイグル自治区」で何が起こっているだろうか。中国でいま、ウイグルアイデンティティーを破壊する重大な人権侵害、同化・民族浄化が行われているのだ。

1.【ウイグル文化への侵害】

1)ウイグルの男性(老人以外)は髭を生やすことが禁止されている。

2)ウイグルの女性はベールやロングスカートを着用することが禁止されている。新疆ウイグル自治区当局は昨年4月1日から、髭や公共の場所での顔などを覆うベールの着用を禁じる新たな法律を発効した。

3)街の中で民族衣装、ワンピースや長めのシャツが強制的にカットされる。これらの写真は、2018年7月13日ウルムチ市内で撮影され、WeChatに投稿されたもの

4)ウイグル学生に中華漢族衣装を着させ、孔子・漢族思想教育を強要されている。

5)伝統的ウイグル歌舞の代わりに中国漢族文化の戏剧(演劇、芝居、劇のこと)を強要されている。ウイグル音楽「12ムカム」が世界無形文化遺産に登録されているなど、ウイグル音楽・舞踊が名であり、ウイグル人は歌も踊りも上手な民族と呼ばれることがあるが、このような文化を漢族文化に置き換えようとしている。

6)ウイグル女性を漢民族の男性と強制結婚させられている。

2.【宗教への侵害】

1)モスクの閉鎖、モスクへ中国旗と監視カメラを設置

2)モスクに政府系監視係の職員を配置

3)18歳以下の全員、学生、教師、職員の礼拝、断⾷など禁止

4)モスクで行われて来たウイグル伝統的葬式に家族以外の人々の参加禁止

5)ウイグル人ボランティアの遺体清浄禁止

6)当局管理下の遺体処理・葬儀場(葬儀サービスセンター)を設立

7)ウイグル人密集地に火葬場建設(イスラム教徒はすべて土葬で行うことになっている。火葬はしない。)

8)新生児にイスラム系の名前を付けることを禁止するほか、一部大人の名前の改名を強要

禁止された名前のリストは、例えば、サイプッラ、サイフディン(50年代から70年代後半まで新疆ウイグル自治区主席となった人の名前)、ナスルッラ、シャムシデンなどごく普通の名前も使用禁止となっている。

9)収容所でウイグル人に豚肉とアルコールを強要(イスラム教徒は豚肉は食べないし、酒も飲まない。)

10)  500年の歴史あるモスクが突然消えた(破壊された)

ホータン・ケリヤ県にある500年の歴史を持つモスク、ヘイティガー・ジャーミーも18 年末に破壊されたことが、カナダの研究者Shawn Zhangにより衛星写真で発見された。

    

  • 詳細を知りたい方は下記のリンクをご覧ください。

中国のウイグル人への弾圧状況についてレポート(第㈡版)

検索する場合はこちらから

「ウイグル協会」 → 「ウイグル 東トルキスタン情報-日本ウイグル協会」 → 「資料:カテゴリー」 →

「中国のウイグル人への弾圧状況についてレポート:在日ウイグル人一同, 日本ウイグル協会 – 2019 年9月 27 日」 → 「中国のウイグル人への弾圧状況についてレポート(第二版)(PDFファイル3.8MB)」

グルジャ事件とは?

グルジャ事件はマシュラップの禁止に対する抗議デモから起きました。マシュラップとはウイグル人の地域コミュニティで行なわれる集まりのことです。ある年齢に達してマシュラップに参加するようになったときに、地域社会への参加も意味することになります。青少年がアルコールや麻薬などに走ってしまうことを防ぐ役割も果たしていました。1997年当時、グルジャ周辺では青年らのマシュラップの指導者たちがサッカーリーグを組織し、トーナメント戦による試合を行っていました。しかし、ウイグル人の団結を恐れた公安当局はマシュラップを禁止し、強制的に解散させ、指導者を不当に逮捕したのです。

当局の弾圧に対してウイグル人の若者たち1000人が、1997年の2月5日に抗議のためにデモに参加し、横断幕を掲げ、宗教的なスローガンを叫び行進しました。公安警察、武装警察はデモ隊に対して発砲し鎮圧しました。そしてデモ参加者をスタジアムに追いやり、厳冬下で零下20度の状況で放水をして多くのウイグル人を凍死させました。当時、拘束者があまりにも多いためイリ地区の留置所はすべて一杯になったといいます。グルジャ事件の後も、イリ地区では事件に関与した疑いがあるとして数万人が逮捕され、刑務所内での拷問により多くのウイグル人が亡くなりました。

虐殺事件から14年を経た今でも、監獄で不当に拘留されている人がいます。2009年7月のウルムチ事件は外国人の撮った映像があるため、中国政府の公式発表が事実でないことが分かりましたが、グルジャ事件については実像がなかなか表に出てきませんでした。しかしこの多数の犠牲者を出したグルジャ事件は記憶され、中国政府に対する抗議行動が、在外ウイグル人組織によって毎年行われてきました。